puis-je quand meme...rester a tes cotes ?

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  snowing   

雪が、降る。
降り積もる。

白くてキレイだって、ゴンが嬉しそうにしてる。
あいつの育った島は暖かいから、珍しいんだろうな。

オレの故郷ではよく雪が降った。
住んでいたのは山の上だから、積もると深くて、なかなか解けなくて。

ここから出られないんじゃないかって思った。
実際、滅多に外なんて見れなかったんだけど。


何度か、雪原で人を殺した事が有る。
まっさらな白の大地に、紅い花が咲くんだ。
はっとするくらい、ほんとうに鮮やかな、色。
そのたびに、オレはたたずんでじっと見ていた。
無数の結晶が薄膜のように紅を覆っていくのを。




雪はあの山にも降っているだろう。

番犬の守る庭に。
執事達の住む小屋に。
灰色の要塞に。

数知れぬ骸の眠るあの場所で、
全てがひとしく白く覆われていくんだろう。
巨大な墓標。




気づくと雪は止み、辺り一面の銀世界。

ゴンが、はしゃぐ。
清く寂しい平原を、陽気な足跡で塗り替えてく。

ああ、
お前はそういうふうに笑えるんだな。


空と大地がまぶしい。


光に灼かれるようで、思わず眼を閉じた。




END



【作者後記】

激烈に季節外れ、というか、もはや反逆ですね。

見事にオチもHもないこのSSは、実は本当に雪が降ってるときに書き始めたのですが、何となく書き終わらずに半年以上が過ぎました(笑
そして今日、35度近い気温を経験した午後、「こりゃもうたまらん」と思わず手を入れてしまったわけです(←説明になってませんね)。

小学校の頃から詩才の無さにかけては折り紙付きだったので、この種の、何もおこらず、エロもなく、短いSSを書くのは単なる自殺行為なんですが。
それにしてもとにかく暑いので、ご訪問者様に雪原を想像して頂く時間をたとえほんの数秒でもご提供することができたならば、もう、無上の幸せと思っており ますm(_)m。

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